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労基法Q&A

はじめに

労働基準法は、昭和22年に施行された労働者の労働条件に関する基本法です。
既に労使間に広く理解され浸透しています。しかしながら、その適用は極めて広範かつ複雑であり、具体的適用に当たっては解釈や取扱いの難しい問題が生ずることが多く、また法施行当初とは労働の態様・労働関係をとりまく環境等が大きく変化し、新たな問題も発生しています。
労働基準法の具体的適用に当たっては、行政解釈、裁判例が問題解決の指針として大きな役割を果たしていますが、これらによっても直ちに個々の問題について明確な回答を得られるとは限りません。

このQ&Aは、企業の労働関係の実務担当の方々が日常直面する具体的諸問題について、私達事務所のスタッフが一問一答形式によって実際に即した回答を行ったものです。
何分にも限られた時間の中での作業であり、回答は私達の見解でありますので不満足な点も少なくありませんが、今後必要な点については補正していきます。

Q&A

Q1.試用期間後の本採用拒否

当社では、新規採用従業員を3ヶ月間「見習従業員」として扱い、その後正規従業員とし採用することにしています。
本年2月現場作業員とし、Aを採用しましたがAの仕事にはミスが多く、勤務態度も良くないので3ヶ月経過の時点で本採用を取りやめることにしたいと考えています。問題はありませんか?

A1

会社が採用後調査した結果や、試用期間中の勤務態度等により当初知ることができず、また知ることが期待できないような事実を知るに至った場合に、その従業員を引続き会社に雇用しておくのが適当でないと判断することに合理的理由がある場合は問題ありません。

試用期間中であっても労働契約はすでに成立しているとみなされていますが、試用期間中の解雇は、通常の解雇よりも広い範囲における解雇の自由が認められています。  試用期間中の解雇について、多くの裁判例では客観的に合理的な理由があり社会通念上相当として是認されるものでなくてはならないとしています。すなわち採用当初知ることができなかったような事実が試用期間中にわかり、その者を引続き雇用しておくのが適当でないと判断することに客観的合理性が認められるような場合に解約権行使が相当であるとされます。  では、客観的合理性について、例えば他の従業員との悶着が絶えなかった従業員の行為を就業規則が解雇事由のひとつとしてあげている「就業態度が著しく不良で他に配置転換の見込みがないと認めたとき」に該当するとされ、解雇が有効と認められています。(雅叙観光事件)これとは反対に会長に声を出して挨拶しなかったという解雇理由が社会通念上相当性を欠くものとされ、解雇が無効になったという判例があります。(ダブルジェー事件)

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Q2.労働条件の明示

当社では、4月は繁忙のため1ヶ月間の契約で、学生アルバイト、3時間のパートタイマーを雇う予定ですが、労働基準法では雇入れに際して労働条件を明示することが義務付けられていると聞いていますが、雇入れの際、最小限明示しなければならない労働条件は何か、また明示の方法はどの様にすればよいでしょうか?

A2

労働基準法第15条により学生アルバイト、パートタイマーの方とも、次のとおり、雇い入れ時に文書にて明示しなければなりません。平成20年3月1日より労働契約法が、平成20年4月1日よりパートタイマー労働法が、基本的ルールをはっきりさせ、労使の合意による労働契約の締結により、労使間の紛争・トラブル防止を図る目的で施行されました。労働者の方が労働条件を理解し、悩みや不安なく働ける環境を整え生産性のUPにつなげましょう。

[1] 契約期間
(期間の定め有とした場合、契約更新の有無、契約更新の判断基準)
[2] 就業の場所
[3] 従事すべき業務の内容
[4] 始業、終業の時刻、休憩時間等
(変形労働時間制・交替制・フレックスタイム制などであれば、具体的な条件)
[5] 所定外労働
(残業・休日労働の有無)
[6] 休日
[7] 休暇
[8] 賃金
(基本給・諸手当・計算方法・所定、法定時間外労働の割増賃金率・支払方法・賃金締切日・支払日・昇給、賞与・退職金の有無・労使協定に基づく控除)
[9] 退職に関する事項
(定年・自己都合退職の手続き・解雇の事由及び手続き)
[10] その他
(社会保険、雇用保険の適用・具体的に適用される就業規則名・安全衛生・休職等)

各事項について、適用する部分を明確にして、就業規則を交付しても差し支えありません。

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Q3.最低賃金

従業員を新たに雇入れしたいのですが、最低賃金制度とはどの様な制度なのですか?
最低賃金以上か以下かどの様に確認したらいいのですか?

A3

最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、使用者はその最低賃金額以上の賃金を従業員に支払わなければなりません。
原則として会社で働く全ての従業員とその使用者に適用されます。
また、最低賃金には、地域別最低賃金と産業別最低賃金があります。

賃金が最低賃金以上となっているかどうかを調べるには、次の方法で比べます。

[1]時間給の場合・・・・時間給≧最低賃金額(時間額)
[2]日給の場合・・・・・日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
[3]月給制の場合・・・・月給÷1月平均の所定労働時間≧最低賃金額(時間額)

また最低賃金の対象となる賃金は通常の労働時間、労働日に対応する賃金にかぎられ、次の賃金は除外します。

除外される賃金
[1]臨時に支払われる賃金 結婚祝い金
[2]1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金 賞与
[3]所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金 残業手当
[4]所定労働日以外の労働に対して支払われる賃金 休日手当
[5]午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分 深夜残業手当
[6]その他 精皆勤手当、通勤手当、家族手当

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Q4.退職証明書

従業員の退職の際に、退職証明書を請求されました。どの様な事項を証明すればいいのでしょうか?

A4

労働基準法第22条により、以下の5事項のうち労働者が請求した事項のみ、記入し遅滞なく証明書を交付しなければなりません。

[1]使用期間
[2]業務の種類
[3]その事業における地位
[4]賃金
[5]退職の事由(解雇の場合は、その理由を含む)

本条の趣旨は、解雇等退職時の紛争を防止し、労働者の再就職活動のためである。

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Q5.就業規則の周知方法

就業規則を作成し監督署へ届出をしたのですが従業員に周知しなければならないと聞いているのですがどのような方法で周知したらいいのかおしえてください。

A5

就業規則は、従業員の労働条件や職場で守るべき規律などを定めたものですので、従業員全員に知らせておかなければ意味がありません。できれば一人ひとりに就業規則を配布することが望ましいのですが、少なくとも各職場の見易い場所に掲示するか、あるいは従業員がいつでも見ることができるような場所に備え付けるなどの方法により、従業員に就業規則を周知させなければなりません。
周知方法として、就業規則を磁気テープ、磁気ディスク、その他これらに準ずるものに記録し、各作業場に当該記録の内容を常時確認できる機器を設置し、従業員が必要なときに見ることができるようにもしても問題ありません。
特に、新しく就業規則を作成し、あるいはその内容を大幅に変更した場合には、その内容がすべての従業員に確実に、かつ速やかに周知されるようにすることが必要です。

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Q6.定年退職後再雇用した従業員の年次有給休暇

当社の定年は60歳ですが希望者については定年後65歳まで1年契約の嘱託として再雇用します。今回該当者が初めて8月に出ますが、年次有給休暇の取扱いについてどのように付与すればよいのでしょうか?

A6

年次有給休暇を付与する要件として、労基法第39条では「6ヶ月以上継続勤務」することを定めています。この「継続勤務」とは、労働契約が存続している期間、いわゆる会社に在籍している期間のことをいいます。「継続勤務」かどうかは、勤務の実態をみて判断します。例えば定年退職後に嘱託として勤務している場合(退職手当規定により所定の退職手当を支給した場合を含む。)は、継続勤務となります。質問のケースでは継続勤務と考えられ、定年後も一旦リセットせず、通算した勤続年数に応じた日数を付与します。ただし、退職と再採用との間に相当期間があき、客観的に労働関係が継続していないと認められる場合はこの限りではありません。

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Q7.事業場単位の就業規則

当社は、神戸に本社がありますが、大阪に支店があり10名余りの従業員が働いています。仕事の内容や従業員の労働条件は、本社も大阪支店も同じですが就業規則は、本社にも、大阪支店にも作成しなければいけないのでしょうか(神戸本社は、就業規則を作成し、監督署に届出はしております。)

A7

就業規則は、各事業場単位で必要になります。同一企業内であっても、大阪支店に常時10名以上の従業員がいるとのことですので、大阪支店用に作成し、大阪支店の従業員の意見書を添付して、大阪支店管轄の労働基準監督署へ届出が必要です。なお、本社と各事業場の内容が同一である場合は、本社を管轄している労働基準監督署へ一括して届け出ることができます。一括届出に添付する意見書は各事業場ごとに取られたものが必要です。

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Q8.パートタイム労働者の健康診断

当社ではパートタイムの従業員を雇入しようと思っていますが、健康診断を受けさせなければなりませんか?

A8

事業主は、パートタイム労働者に対し、労働安全衛生法第66条で定めるところにより、次に掲げる健康診断を実施する必要があります。

[1]常時使用するパートタイム労働者に対する雇入時の健康診断、定期健康診断(1年以内に1回)
[2]深夜業を含む業務等に常時従事するパートタイム労働者に対する、配置転換時健康診断、定期健康診断(6ヶ月以内ごとに1回)
[3]一定の有害な業務に常時従事するパートタイム労働者に対する、雇入時健康診断、配置転換時健康診断、定期特殊健康診断

なお、[1]の常時使用するパートタイム労働者とは原則として、次の2つの要件を満たす者をいいます。

・期間の定めのない労働契約により使用される者〔期間の定めのある労働契約により使用される者であって契約の更新により、原則として1年(深夜業等の特定業務従事者は6ヶ月)以上使用されることが予定されている者および1年以上引き続き使用されている者を含む〕

・1週間の労働時間数が同一事業場で同様の業務に従事する通常の労働者の4分の3以上の者(2分の1以上のパートタイム労働者については健康診断を実施することが望ましいとされています)

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